お役立ちコラム

意外と知らない節税の注意点や税理士を選ぶポイントなど、税理士、税務に関する様々な豆知識をご紹介するお役立ちコラムです。

料金やサービス内容についても、お客様の代わりにより良い条件に交渉いたします

M&A(税理士事務所)

公開日:2024/02/06 更新日:2024/02/14

税理士事務所のM&A・事業承継の方法と成功のポイント

税理士業界は、以前から高齢化が懸念されています。

また、人材が定着しない業界のため、慢性的な人材不足により、後継者問題は深刻です。

近年、M&Aが一般的に周知され、税理士事務所においても活用事例が増えています。

とはいえ、税理士事務所は個人か、または税理士法人という特殊な法人のため、株式を発行する一般企業とは、その手法に違いがあります。

そこで、本記事では、税理士事務所のM&Aのメリットや、手法、手続きの流れ、成功のポイントなどを解説します。

また、具体的な事例による問題点の克服方法も紹介しています。

これから、税理士事務所のM&Aに取り組む方にとっては、必見の内容です。

ぜひ、最後までご一読ください。

税理士事務所のM&A・事業承継のメリット

税理士事務所におけるM&Aや事業継承は、下記のように売却側・買収側双方に多岐にわたるメリットがあり、

■M&Aによる売却側のメリット

  • 譲渡益が得られる
  • 従業員の雇用を維持できる
  • 顧客先をスムーズに引き継げる
  • 後継者問題が解決できる

■M&Aによる買収側のメリット

  • 優秀な人材を獲得できる
  • 顧客基盤を拡大できる
  • 業務の多角化につながる
  • 競争力の強化

それぞれのメリットの詳細については、「税理士事務所のM&A・事業承継とは?メリット・デメリットや注意点を詳しく解説」をご確認ください。

税理士事務所のM&Aの方法

通常のM&Aの場合は株式の譲渡が一般的ですが、個人事業である税理士事務所の場合は当然株式はありませんので株式譲渡ができません。

そのため、税理士事務所のM&Aは以下の手法が主に用いられます。

  • 事業譲渡・事業承継
  • 合併

それぞれを解説します。

事業譲渡・事業承継

事業譲渡とは、事業資産の一部、または全部を売買契約により譲渡する取引方法です。

事業譲渡では、各事務所の状況に応じて、資産を個別に選別し、柔軟な契約を結ぶことができます。ただし、顧客や従業員との契約は直接譲渡されないため、譲受側はこれらとの契約を個別に再締結する必要があります。

このプロセスは時間と手間がかかり、忙しい時期に重なると手続きが複雑になる場合もあります。

事業承継は、事業そのものを、後継者に引き継ぐことをいいます。

例えば、知人の税理士に事業を譲る場合は事業譲渡を選び、従業員の税理士や内部の後継者に引き継ぐ場合は事業承継が一般的です。

合併

合併には主に吸収合併と新設合併の二種類があり、これらは税理士事務所のM&Aにおいても一般的な手法です。

吸収合併では、2つの税理士事務所のうち一方が他方を吸収し、存続事務所として残る手法です。この方法により、統合後の事務所はより大きな規模で事業展開が可能となります。

新設合併では、2つの税理士事務所が共同で新しい税理士法人を設立し、両事務所がこの新設法人に合併されて消滅します。この方法により、新たに設立された税理士法人は、より大きな組織として事業を展開することが可能となります。

税理士事務所のM&A・事業承継の流れ

これから税理士事務所のM&Aや事業承継をお考えの方へ、税理士事務所のM&A・事業承継の事業譲渡を行う側の目線での一般的な流れをご紹介します。

ステップ①仲介会社に相談

最初のステップは、専門的な知識を持つM&A仲介会社に相談することです。ここで、自身の事務所の状況や譲渡・承継の目的、期待する条件などを相談し、これからM&Aを進めていく上での適切なアドバイスを受けます。

ステップ②仲介会社との仲介契約

相談後、仲介サービスを利用することを決めたら、仲介会社と正式な契約を結びます。この契約には、サービスの範囲、仲介手数料、機密保持などの条項が含まれます。

ステップ③候補先の紹介と主だったポイントについての質疑

仲介会社は、条件に合った譲渡または事業継承候補先を紹介します。この段階で、候補先の規模感や所在地、特徴や財務状況、市場の地位など、主要なポイントについて質問をし詳細について情報を得ます。

ステップ④質疑である程度テーブルにのるようなら面談

その中から興味を持った候補先があれば、直接面談を行います。ここでは、より具体的な顧問先の全体像、個別の顧客に対する業務内容や経営理念の相違点、業務上のキーマンの有無などを確認し、双方の相性を見極めます。

ステップ⑤顧問先の確認、譲渡金額や従業員雇用などについて協議

候補先との具体的な交渉では、顧客リストの確認や、譲渡金額、従業員の雇用条件などについて詳細な協議を行います。このステップは、M&Aの成功において非常に重要です。

ステップ⑥基本合意

主要な重要事項についての合意が得られたら、基本合意書を交わします。

ステップ⑦必要な場合は詳細なDD(デューデリジェンス)や従業員面談

必要に応じて、譲渡・承継先が法律的、財務的なリスクを抱えていないかを調査するデューデリジェンス(DD)を行います。また、従業員との面談を行い、譲渡・承継についての説明や譲渡・承継先での人材の配置や役割について確認します。

ステップ⑧正式合意

DDの結果や面談の内容を踏まえ、最終的な合意に至ります。合意内容は正式な契約書にまとめられ、双方が署名します。

ステップ⑨譲渡実行

契約に基づき、実際に資産や事業の譲渡を行います。この段階で、必要に応じて顧問先や関連機関への通知、登記などの法的手続きが行われます。

ステップ⑩従業員と顧問先離脱を防ぐための有期フォロー

M&A後は、従業員の満足度や顧客の維持に必要なフォローアップを行います。これにより、譲渡・承継後の安定した運営を目指します。有期フォローは一般的に3ヶ月から12ヶ月間程度で、譲渡代金とは別に月額報酬を受け取って実施するのが税理士事務所のM&A・事業承継では一般的です。

税理士事務所のM&A・事業継承の成功のポイント

税理士事務所のM&Aや事業承継を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。これから自身の税理士事務所を事業譲渡・承継を検討している事務所にとって主要となるポイントについて解説いたします。

目的とビジョンを明確にする

M&Aや事業承継を成功させるためには、まず、その目的を明確にすることが大切です。具体的な目標設定を行い、それに基づいて詳細な計画を策定します。

事業成長の加速、リスク分散、適切な後継者の確保など、目的は多岐にわたる可能性がありますが、それぞれに適した戦略を定めることが重要です。

M&Aを単なる目標達成手段とみなしてしまうと、戦略的なミスマッチが生じるリスクが高まるため注意しましょう。

自事務所の評価を分析する

自分の税理士事務所がどれほどの価値を持っているかを正しく知ることは、M&Aや事業承継を考える上で非常に重要です。また、他の事務所や市場全体の状況も理解した上で、自事務所とどう違うかを比較することも大切です。

自分の事務所の強みや弱み、これからチャンスになりそうなことや注意すべきリスク(SWOT分析)をしっかりと把握しましょう。これらの情報を基にして、M&Aや事業承継の計画を立てることができます。

M&A先の記帳代行サービスへの考え方を確認しておく

税理士事務所のM&Aや事業承継においては、自事務所とM&A先・事業承継先との間で記帳代行サービスに対する考え方を確認しておくことも、非常に重要です。これは、記帳代行サービスが税理士事務所の提供する基本的なサービスの一つであり、その取り扱い方やサービスの質、顧客へのアプローチ方法などにおいて、両事務所間で大きな違いがあると、譲渡・後の業務運営や顧客満足度に影響を与えかねないからです。

例えば、ある事務所が記帳代行サービスを非常に重視し、高度なカスタマイズや個別の顧客対応を行っているのに対して、もう一方の事務所では顧客に自計化を促し、税理士が記帳代行に携わる工数を減らしてその分を財務や会計のアドバイスに専念すべきという場合、これらのサービスの違いは、顧客への影響だけでなく、内部の業務や従業員の仕事のやり方にも大きな違いを生じさせます。

従って、M&Aや事業承継を検討する際には、事前に記帳代行サービスを含む業務内容やサービス提供の方針について、詳細に比較・検討し、両事務所間での調和を図る方法について合意しておくことが、スムーズな譲渡・承継には不可欠です。これにより、顧客へのサービスの質の維持や向上、従業員の満足度の確保、そして業務効率の最適化が図れるでしょう。

専門家の活用が成功率を高める秘訣

M&A・事業承継を行う際には、様々な複雑な問題が出てきます。これらを上手く解決するためには、税理士事務所のM&Aに関する知見や経験を持つ専門家(仲介会社)を活用することが非常に重要です。

経験豊富な専門家は、これらの領域における深い知識を持ち、取引に潜むリスクを特定し解決するノウハウを持っています。また、過去の案件から得た経験を活かして、時間とコストを節約しながらプロセスを効率的に進めることが可能です。

さらに、交渉過程でのサポートや統合後のスムーズな移行、長期的なビジネス戦略の策定など、M&Aや事業承継の成功に不可欠な多くの側面で重要な役割を果たします。

また、すでに仲介会社が保有している多くの譲受け候補先の中から自事務所や自身の考え方に合った候補先を紹介してもらうことで、数ヶ月という短期間で契約が実行されることもあります。

適切な専門家を選定し、その知見と経験を最大限に活用することが、M&Aや事業承継の成功へとつながるのです。

税理士紹介エージェントでは、事業譲渡・事業承継のお手伝いをさせて頂いております。ご自身の税理士事務所の事業譲渡・承継をご検討の税理士の方は一度お気軽にご相談ください。

税理士事務所のM&A・事業継承の事例

税理士事務所のM&Aについて、多角的に見てきましたが、最後に事例を2つ紹介します。

個人事務所から個人事務所への事業譲渡

税理士業務は属人的な要素が強いため、担当者の変更で、顧問先との契約が解約になることもしばしばあります。

税理士事務所のM&Aでは、最も危惧されますが、ある事例では、顧客と担当スタッフをそのまま、転籍させるような形で成功しました。

この事例は、高齢で引退する税理士が後継者不在のため行った事業譲渡でした。

引き継ぐ事務所の代表税理士は、事業譲渡の際、顧問先とスタッフの信頼関係が強いことを考慮し、事業譲渡後も引き続き担当替えをしませんでした。

ちょうど、事務所スタッフと顧問先が転籍するような形をとったのです。

一般的に税理士事務所の顧問業務は、担当スタッフが毎月の巡回監査を行い、決算や税務申告、税務調査など節目で代表税理士が立会うケースが多くあります。

担当スタッフが実務に精通し、顧客との信頼関係ができていると、このようにスムーズに事業が承継できます。

個人事務所が合併して税理士法人へ

個人事務所では、代表税理士に万が一があると、事業が立ちいかなくなるリスクがあります。

ある事例では、医業経営を専門にする個人事務所と、一般税務の傍ら相続業務にも強い個人事務所が合併する形で税理士法人を設立しました。

双方の事務所とも、代表税理士の他に有資格者はいるものの、実務経験が浅く、登録には時間を要する状況でした。

そこで、有資格者が登録するまでのリスク回避と、その後の事業運営を見据え、税理士法人としての存続を選択しました。

異なる業種の事務所同士では、業務や事務所の文化の違いにより、スタッフ間の軋轢が生じる問題もあります。

この事例では、税理士法人は設立するものの、事務所は同じオフィスビルの別フロアで、合併前と変わらぬ環境で運営しています。

案件により、共同作業が必要な都度、チームを組んで業務を行う形式をとっています。

そのため、両事務所間の人間関係も良好です。

また、医業経営には、特有の相続税の問題があるため、合併により顧客サービスも向上し、まさにシナジー効果が発揮される事例となりました。

まとめ

税理士業界は高齢化と人材不足に直面しており、これに対処するための一つの解決策としてM&A・事業承継が注目されています。

税理士事務所のM&A・事業承継は、株式発行ができない特殊な法人構造を持つため、一般企業と異なる点が多くあります。

M&A成功のためには、目的とビジョンを明確にし、自事務所の評価を分析した上で、譲渡・継承先の文化や方針を理解することがポイントです。そして何より重要なのは、税理士事務所のM&A・事業承継に深い知見と経験のある専門家を見つけ活用することです。

税理士紹介エージェントでは、事業譲渡・事業承継を数多くサポートしてきました。税理士事務所のM&A・事業承継の深い知見と多くの実績があります。ご自身の税理士事務所の事業譲渡・承継をご検討されている場合には、まずはお気軽にご相談ください。

本記事の執筆者

税理士紹介エージェント 編集部

2012年から10年以上、税理士紹介エージェント を運営し、最適な税理士をご紹介する中で お客様からよく寄せられる疑問や税務に関するコツ、最新の税制改正情報など、幅広く税に関するお役立ち情報を提供しています。

2012年から10年以上、税理士紹介エージェント を運営し、最適な税理士をご紹介する中で お客様からよく寄せられる疑問や税務に関するコツ、最新の税制改正情報など、幅広く税に関するお役立ち情報を提供しています。

上に戻る

無料のご紹介窓口 / 最短即日からのご紹介