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不動産の相続

公開日:2019/05/03 更新日:2021/11/26

土地や建物、不動産を相続する時に必要な手続き

遺産相続でもめることが多いのが不動産相続です。土地や家など、簡単に分けられないもの、人によって「価値観」が違うものは相続の話し合いがこじれやすいのです。

土地や家などの不動産は、どのように相続されるのでしょうか。基本的な不動産相続の手続きについてご紹介しましょう。


不動産相続は動産相続よりも煩雑で大変

不動産相続は、現金の相続に比べてはるかに煩雑で大変です。親がひとり、子どももひとりという状況であっても、やらなければならないことはたくさんあります。

相続関係よりも先にやらなければいけない葬儀関係のこと

近親者が亡くなった場合、まずは死亡届を提出して葬儀を執り行わなければなりません。その際の細かな手続きについては、こちらに記載しています。参考にしてください。

→「財産を相続する前に読んでほしい!相続に必要な手続き」

不動産相続がありそうならすぐにやっておきたいこと

不動産相続に関することで、すぐにやっておきたいことは、自分が相続人であるのかどうか、財産がどれくらいあるのかの確認です。
 
【自分が相続人かどうかの確認】
自分の立場上、法的な相続人に当たる場合と遺言書で自分が指定されている場合があります。

【財産がどれくらいあるのかの確認】

財産がどれくらいあるのかは、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いて、残ったもので判断します。
 
【故人の戸籍謄本取得】
財産を遺した故人の戸籍謄本を取得しておきます。死亡届を提出したあと、故人の出生から死亡まで記入されたものが必要となります。
 
【相続人の戸籍謄本取得】
故人とどういった関係にあるのかをはっきりさせるため、相続人になった場合は自分の戸籍謄本も必要になります。
 
【実印の準備】
遺産相続には署名と実印の捺印が必要になります。実印を用意し、印鑑登録を行っておくと、その時に慌てずに済みます。

不動産相続に必要となる具体的な手続き

それでは、不動産相続を実際に行うシミュレーションをしてみましょう。不動産相続には、どんな手続きが必要になるのでしょうか。

遺言書の確認と内容の認証・内容の棄却

遺言書が存在する場合、公正証書遺言だった時にはすぐに遺言の執行を行うことができます。家庭裁判所の検認が必要な自筆証書遺言や秘密証書遺言だった場合は、検認に1か月ほどかかります。

遺言書に、遺言執行人と呼ばれる遺言の実現の指揮を執る人が指定されている場合があります。その場合は遺言執行人が遺言に従って相続人を確定し、相続対象財産を確定します。

その内容に相続人全員が納得すれば、スムーズに遺産を相続して終了となりますが、反対意見が出ることも当然あります。

その場合、相続人全員が遺言書の内容に反対する旨に合意すれば、遺言書の内容に従わずに遺産相続を決めることが可能です。この場合、必ず全員の同意が必要なので注意しましょう。

遺言書が無い場合、相続人の確認

遺言書が無い場合は、相続人を確認し、自分が相続権を持っているのか、いないのかを知る必要があります。
 

 配偶者
配偶者とは婚姻関係にあった相手で、内縁関係は含みません。配偶者が生存している場合は相続人の筆頭となり、取り分も必ず最大の割合になるよう、民法で定められています。その他の相続人
その他の相続人は、3段階に分けて定められています。第一順位の相続人が誰も存在しない場合、第二順位の相続人、というように、順送りになります。

 
つまり、相続人は「配偶者」がいれば、配偶者と第一順位の親族、ということになります。
 
・第一順位 故人の子どもとその直系子孫(何代でも)
・第二順位 故人の直系の親とその直系祖先
・第三順位 故人の兄弟と、その直系の子孫(一代(甥・姪)のみ)
 
親族が非常に少なく疎遠になっている場合、突然名前も知らない親族の遺産相続人に指名されることもまれにあります。

相続すべき遺産の確認

次に、相続すべき遺産を確認します。
 
・プラスの財産
現金・預貯金・有価証券・美術品・不動産など
 
・マイナスの財産
各種未払い料金・借金など
 
相続すべき財産は、【プラスの財産】-【マイナスの財産】で、残った分になります。

遺産分割協議

遺産の相続人が出そろい、遺産がどれくらいあるかがはっきりしたところで、遺産をどのように、どんな形で分割して分配するかを相談して決めます。
 
◆母と子ども2人の場合
現金…1000万円
土地・家屋…2000万円
 
この場合、財産は3000万円になります。このまま親子3人で等価分配するとなると、現金1000万円と土地1000万円、家屋1000万円ということになりそうですが、そうはいきません。

土地に建っている家屋には、まだ母が住んでいます。さらに現金は、母がこれから暮らしていくために必要なお金になります。

等価分配が一番問題が少ないように見えますが、実はまったく等価ではないことも多いのです。
 
またこの家庭の場合は法定の相続税免除額である3000万円+人数×600万円以下の相続額なのですが、相続する財産が大きくなればなるほど相続税の負担も大きくなります。

この家庭の場合、土地・家屋は母がそのまま受け継いで住み続け、現金は親子で相談し、母の暮らし向きや介護の必要性に応じて分配の割合が変化しそうですね。

土地・家が絡む遺産分割協議はとにかく時間がかかってもめやすい

遺産分割協議は、故人が亡くなってから10か月の間に話し合いをまとめなければなりません。しかし遺産の分割はとにかくもめるものです。

遺産はすべて現金というわけではありません。土地や家屋などの不動産もあります。美術品などの「物」が含まれている場合もあります。これらはケーキのようにナイフを入れてきれいに分割、というわけにはいきません。

また遺産相続人にもそれぞれの想いや立場、経済状況など、実にさまざまな「事情」があります。価値のあるものをそのまま保ちたいと考える人もいれば、とにかく現金が必要、という人もいます。
 
こうした話し合いを、数人の大人で行うのです。普段から行き来があり、仲の良い兄弟が、遺産相続でもめて仲違いをするという話はよく聞きますよね。

場合によってはほとんど会ったことのない親族や、もともと考えが合わず仲の悪い親族同士が話し合いをしなければなりません。

そのため、遺産分割協議はもめることが多いのです。特に土地・家といった不動産が絡むともめて時間がかかります。最初から「時間がかかる」と考え、できるだけ早く準備を始めましょう。

なぜ不動産相続はもめるの?遺産分割協議に時間がかかる理由

不動産相続が絡むと、遺産相続はもめるとご紹介しました。では、どういった理由で遺産分割協議に時間がかかってしまうのでしょうか。

土地・家を「家督を継ぐ」人間がそっくり受け継ぐ風習が残っている

日本では、昔から長男が「家督を継ぐ」という風習がありました。地方では、長男が土地や家を継ぐことが当たり前という意識が強く残っているところもまだあります。

そのため、長男は子どものころから「家を継ぎなさい」と言われて育ち、大人になっても「自分は土地と家を相続するんだ」と思い込んでいることも少なくありません。

しかし、民法では配偶者が最少でも遺産の半分を相続することが定められていますが、長男が土地や家を継ぐことは定められていません。

不動産をそっくり受け継ぐと思っている長男と、遺産は平等に分配されるべきと考えている他の兄弟の考えにすれ違いが生じる理由のひとつです。

残された親の介護と同居問題

2018年に相続に関する法改正が行われ、配偶者の居住権の保護が拡大されました。そのため、両親のどちらかが亡くなっても、配偶者は残された家に住み続ける権利が守られるようになったのです。
 
しかし、日本人の長寿命化と少子高齢化が重なり、配偶者を喪う親もまた、すでに高齢というケースが増えています。
 

 
そのため、高齢の親を一人暮らしでおいてはおけないということで、子どもの誰かが同居をするという選択をせざるを得ない場合も増えています。

また老々介護の介護していた方の他界してしまい、要介護の親が残されることも珍しくはありません。

その際、要介護度や兄弟全員の経済状況、職業などさまざまな事情によっては、ひとりの子どもが仕事やこれまで住んでいた家を犠牲にし、家族を巻き込んで同居の上、介護がのしかかるということもあります。

いずれ残された親が亡くなった時、親と同居し介護をしてきた子どもが「自分はこの家に住んでいるのだから継ぐ権利がある」と主張しても、残念ながらそれは民法で認められた権利ではありません。
 
また介護を長期間一手¥に引き受けてきた子どもが「自分はずっと親を介護してきた。仕事も犠牲にしたし、家族も巻き込んだ。より多く遺産をもらい受けることは当然だ」と主張することもあるでしょう。

相続人みんながそれで納得すれば良いのですが、相続人の配偶者の思惑なども必ず絡んでくるため、話は一筋縄ではいかなくなってしまうのです。

先祖伝来の土地や思い出のある家を売りたくない相続人がいる

また、家によっては何百年もの間、同じ土地に住み続け、築100年近い物件を大切に守ってきたというケースもあります。

こういった場合、相続人の中には「先祖伝来の代々守ってきた土地屋敷を簡単には売れない」という人が出てくることも少なくありません。

しかし事実上、古い土地屋敷に住める人間がいなければ、古い家はあっという間に傷んで、空き家問題に発展してしまいます。

不動産の「共有」は、次の代にさらなる問題を先送りにする

また「売りたくない、守りたい」という相続人が集まって「共有」という形で受け継ぐ場合もあります。

そうなると、共有した人々で家を保持し、毎年生じる固定資産税を払い続けなければならなくなりますが、問題はそれだけではありません。

共有者が亡くなり、相続がその次の代になったとき、多くはその子ども達が相続人となります。人数も増えるでしょうし、普段からコミュニケーションを取っていない相手も増えるでしょう。

住む場所も国内とは限りません。世界各地に散ってしまった親族に連絡をつけて集合し、会議をして不動産の行く末を決めることは、もはや不可能に近い状態です。

不動産の登記が数代前で止まっている

不動産を代々相続してきたご先祖様達が、それぞれきちんと新たに登記をしていれば良いのですが、土地によっては数代前に登記をしたまま、何十年も前に亡くなった祖父の名前のまま……ということもあります。

こういった場合は、さかのぼって父親の登記、母親の登記をやり直さなければならず、その都度不動産の相続人に含まれていた人、またはその子孫に放棄の手続きをお願いしなければなりません。

非常に煩雑な手続きです。場合によっては10か月間で終わらない、ということにもなりかねません。

不動産が遺産に含まれていたら、まずは相続に強い税理士に相談を

不動産が遺産に含まれていたら、期限である10か月間で話し合いが決着するとは限りません。まずは相続に強い税理士に相談し、相続人みんなが納得できる道を模索しましょう。

不動産相続に必要な書類

不動産相続には、遺言書が無い場合たくさんの書類が必要になります。相続に強い税理士に相談する際にも役立ちますし、取得に時間がかかるものもあるため、遺産に不動産が含まれると分かった時点で用意を始めましょう。
 ・故人の戸籍謄本(出生から死亡まで全ての戸籍謄本)
・故人の住民票(本籍記載あり)の除票
・相続人全員の、故人が亡くなった日以降に発行された戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
・不動産の登記事項証明書
・不動産の固定資産評価証明書

 
さらに、相続に強い税理士に相談しながら作成・取得したいのが、次の書類です。
 ・遺産分割協議書
・不動産を相続する相続人の住民票

不動産相続にかかる税金

不動産相続をはじめ、相続には相続税がかかることは多くの方がご存知でしょう。相続税は、全遺産から3000万円を差し引き、さらに相続人の人数×600万円を差し引いた金額まではかかりません。

しかし、東京23区内に不動産の遺産がある、という場合などは、かなりの割合で相続税がかかってしまいます。地方でも、意外な場所に登記済みの土地があったりするので、調査は非常に重要です。

不動産相続にかかる相続税以外の費用

不動産の相続には、相続税以外の費用もかかります。ではお金がかかるものを挙げてみましょう。
 登録免許税
不動産を登記する際に課税されます。不動産相続の場合は、固定資産税評価額の0.4%とされています。

戸籍謄本や住民票などの取得料・郵送費用
役所で戸籍謄本や住民票を取得する際や、それらを取り寄せる際にお金がかかります。

司法書士報酬
上記の手続きすべてを自分で行うと、膨大な時間と手間がかかります。登記がストップしている土地などが発見されれば、さらに煩雑になります。さらに遺産分割協議が紛糾すると、期限に間に合わない結果になりかねません。

 
そのため、プロの司法書士に手続きをお願いすることがおすすめです。専門的な知識が必要な部分もたくさんあるので、最初から相談すると良いでしょう。不動産相続の場合、司法書士報酬は5万円程度~が一般的です。

不動産相続はもめごとがつきもの!相続に強い税理士に相談して手続きを完了させましょう

ご紹介してきたように、不動産相続には専門的知識が必要な部分や、煩雑な手続き、たくさんの書類が必要となります。すべてを自分達で行うことも可能ではありますが、仕事を持っている方や、親族がみんな遠方に住んでいるという場合はかなり難しいでしょう。

まして相続人がみんな一度の話し合いで納得し、首をたてに振ってくれるとは限りません。そんな場合は親族間の関係が悪化する前に、相続に強い税理士に相談してすっきり相続手続きを完了させたいですね。

本記事の執筆者

税理士紹介エージェント 編集部

2012年から10年以上、税理士紹介エージェント を運営し、最適な税理士をご紹介する中で お客様からよく寄せられる疑問や税務に関するコツ、最新の税制改正情報など、幅広く税に関するお役立ち情報を提供しています。

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